こんにちは。
青山鈴木不動産の鈴木です。
今回も引き続き、民法改正に伴う話題を取り上げたいと思います。
『連帯保証人が負担する債務の元本確定事由』についてお届けしたいと思います。
不動産の賃貸借契約におきましては、その契約が更新されることで何年はおろか、十何年にもわたり長期に継続することがあります。
その期間が長くなればなるほど、契約の当事者にいろいろなことが起きる可能性も高くなります。
今回の民法改正では、その中でも『連帯保証人が負担する債務の元本確定事由』について、以下のように定められました。
元本確定事由とは、保証のもととなる賃借人の債務の金額が、連帯保証人との関係で確定することをさします。
①賃貸人(債権者)が、連帯保証人の財産について、金銭の支払いを目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。但し、強制執行又は担保権の実行の手続きの開始があった時に限る。
②連帯保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。
③賃借人(主たる債務者)又は連帯保証人が死亡したとき
ここでは③について取り上げたいと思います。
賃貸借契約の途中で賃借人や連帯保証人が死亡した場合、その時点で保証債務の金額が確定し、その後に生じた債務に関しては保証人又は保証人の相続人には請求できないことになります。
それぞれのケースで見ていきたいと思います。
①賃借人(主たる債務者)が死亡したとき
賃借人が死亡した場合、それに伴い賃貸借契約が終了する訳ではありません。
賃借人たる地位が相続人に相続されるため、賃貸借契約自体は継続されますが、連帯保証人が負担する債務は賃借人の死亡時点で確定しますので、それ以降に発生する家賃等を連帯保証人に請求することはできません。
②連帯保証人が死亡したとき
連帯保証人が死亡した場合、その時点で賃借人が負っていた債務が連帯保証人が負担すべき債務として確定します。
その債務については、連帯保証人の相続人が相続しますので、相続人に対し請求するようになります。
いずれのケースにおいても賃貸借契約は継続しますので、賃借人や連帯保証人死亡以降に発生した賃貸借契約に基づく賃借人や賃借人の相続人の債務については、新たな連帯保証人を立ててもらうか家賃債務保証業者を利用するなどでカバーしていく対応が必要となります。
この元本確定事由については個人の連帯保証人のみに限られ、家賃債務保証業者を利用する場合は元本確定事由は適用されませんので、これもより一層、家賃債務保証業者を利用する流れに進んでいきそうな改正と思われます。
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