こんにちは。
青山鈴木不動産の鈴木です。
今回も民法改正に関して、『事業用賃貸借契約における情報提供義務』についてお届けしたいと思います。
これも前々回の『個人保証における極度額』や前回の『主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務』に関連して、個人の連帯保証人の保護を目的としたものです。
事業用の賃貸借契約の締結に先立ち、賃借人は、連帯保証人に対して、以下の情報を提供しなけらばならないというものです。
①賃借人の財産及び収支の状況。
②契約から生じる賃借人の債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況。
③契約から生じる賃借人の債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがある時は、その旨及びその内容。
連帯保証人を引き受けるにあたり、賃借人にどの程度の財産・資力があるかを把握する機会を連帯保証人に与えることで、連帯保証人を引き受けるかどうかを検討する機会を設けようとするものです。
ポイントは以下の通りです。
①事業用の賃貸借契約であること。
②対象は個人を連帯保証人とする場合のみ。
③賃借人が情報の提供を連帯保証人にしていない、又は事実と異なる説明をされ連帯保証人が誤認し、それによって保証契約の申し込み又は承諾の意思表示をした場合において、賃貸人(債権者)が連帯保証人が説明を受けていない又は誤認していることを知り、又は知ることができた時は、連帯保証人は保証契約を取り消すことができる。
大事な部分としては③のポイントになります。
賃貸人としては、賃借人が連帯保証人にきちんと情報提供していることを確認することが必要ですので、賃借人に対しては事実に基づく情報提供を行ったこと、連帯保証人に対してはそれらの情報提供を受けたことをそれぞれ押さえておく作業が必要となります。
ただ、現実的には賃借人と連帯保証人の関係性やその作業の煩雑さにより、連帯保証人への情報提供を拒むケースも出てくることが予想されます。
なので、賃貸人としては、連帯保証人ではなく家賃債務保証業者を利用することも選択肢の一つとしてご検討頂く必要があります。
可能であれば、連帯保証人と家賃債務保証業者の併用をお勧め致します。
ご所有の不動産についてのご相談等についてはお気軽にお問い合わせください。